ナエ 土屋染色工房 NAE surface printing factory





反応性染料の引き染&色差し

 反応性染料は水に溶け,セルロース系繊維に吸収され,アルカリ剤によって化学反応
 を起こして染着します。染色の温度によって低温型,中温型・高温型の3タイプに分け
 られます。常温のフィキサーテン固着法で染められる低温型が使いやすいでしょう。
 色相の範囲が広く,鮮明な色に染まり堅牢度も高いため植物繊維の染料として今では大
 変良く使用されています。

用具と材料

・糊抜き,精錬剤 ラクトーゼ,苛性ソーダ,洗剤
・ホーロボール  アルミのボールは使用不可。金属反応で染料が分解する。
・反応性染料   レマゾール,プロシオン,ハンノールリキッド等

精錬

・布に汚れや糊分が付着していると反応染料本来の発色ができないので,精錬処理は確実
 に行ってください。

・浴比20倍の湯(60度~80度)に糊抜き剤・ラクトーゼ(5g/1リットル)を加える。
・水に浸し脱水した布を1時間から2時間浸けておきます。
・布が水面上に出ないよう注意。
・処理後,湯で良く洗い,脱水します。

・浴比20倍の水に苛性ソーダ(布の重さの3%)を加える。
・バットを火にかけ,沸騰させます。
・水に浸し脱水した布を端から繰り入れ,ゆっくり動かしながら30分ほど煮ます。
・処理後,布に風を入れ冷ましてからアルカリが取れるまで水洗いします。
・脱水後,張手に張り,しわの無いように乾燥させます。

地入れ

・反応染料は豆汁,ふのりなどとは反応するため使用できません。
・アルギン酸ソーダを使用。海藻から抽出され,色はごく淡い茶黄色の粉末です。
 糊状になると透明な飴色になります。
 
   {アルギン糊の作り方}
   100gの糊を作るには,アルギン酸を4~6%,トリポリ燐酸ソーダ(金属
   イオン封鎖剤,鉄分の多い水の場合固まるのを防止します。糊落ちを良くします。)
   1.5%,水を94.5~92.5%用意します。
     ・ボールに必要量の水を用意。
     ・トリポリ酸をボールに振り入れ,撹拌溶解します。
     ・アルギン酸を粉のまま振り入れながら,泡立て器で撹拌します。
     ・ときどき撹拌しながら一昼夜置きますと,透明淡黄色の糊が出来上がります。
     ・お湯で溶いてはいけません。ステンやホウロウの剥げた器は使用不可。

・アルギン糊を水で20倍(50cc/1リットル)に薄め,生地の裏からムラなく引き,
 表はアルギン酸をつけずに刷毛で返してください。
・地入れが弱いと,防染糊の裏から染みることがあるので注意する。

反応性染料の作り方

・型付けは蒸し糊で良い。乾燥は十分に。
・アルギン糊を水で5倍に溶いて,薄め液を作る。
・ハンノールリキッドを薄め液に入れ,好みの色にする。ハンノールは液の5倍以上に
 薄めて使用。濃度が濃いと色流れの原因になります。

ハンノールの引き染・色差し

・刷毛は専用の物を用意し,シリアスやナフトールと共用しない。
・その他の注意点は前の項を参照。

色止め

・フィキサーテンを原液のままナイロン刷毛で両面に塗ります。
・しみこみにくいときはフィキサーテン浸透剤を加える。入れすぎると色が止まりません。
・フィキサーテンには水は絶対に加えてはいけません。(刷毛は乾燥した物を使用)
・強アルカリのため手袋を使用してください。
・塗った後60分位放置します。

水元

・時間が来ましたら,必ず流水でフィキサーテンを洗い流します。(生地のヌル味がなく
 なるまで洗う。アルカリ分が残っていると色落ちの原因になります)
・湯沸器の一番熱い湯を流しながら色が出なくなるまで洗います。
・湯で水元しますので糊は完全に落ちるはずですが,軽くタワシをかけます。
・水で良くすすぎ,脱水します。

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捺染

捺染とは,直接染料や酸性染料,反応性染料などを混ぜた糊(色糊)を使い,染色と防染
(反応性染料は防染出来ない。なぜならアルギン酸を使うため)を同時に行なう染の方法です。
型捺染,筒描き捺染,ブロック捺染,シルクスクリーン捺染,など使用する道具ヨって色々な方法
があります。布を板に張り,一色目,二色目と次々に色糊を置き,蒸しをして定着させる染法を捺染
といいます。

注意:

・糊場が染まる。(型付けした所)
・糊は色数分重なりますが,最初の色が出て,後の色は防染されるため出てきません。
・色数と同じだけ,型紙を使う。
・形紙は紗張りをしない。


用具と材料

・生地      木綿,絹,麻,ウール。
・染料      シリアス,イルガラン,等。
・その他     ボール,色数ぶんの型紙,型付けヘラ,等。


木綿・シリアス染料の捺染

用具と材料

・シリアス (イエローGC,スカーレットB,レッドF3B,レッド4B,ブロンT,
       グリーンBB,ブルーGX,バイオレットBB,ターキスブルーBGL,
       ブラックL,ブラックVE,等)
・片手鍋,蒸し器,直接染料色止め剤,石灰の入っていない糊。

・その他,前を参照。

色糊の作り方

・使う染料と濃度を決める。

・必要とする色糊の量を決める。
・型紙の彫った分量によって,糊の量は違ってくる。
・一型目をつけて,二型目の糊の分量を決めていく。


色糊作り


・元糊を量る。染料を量る。
・染料をボールに入れ,そこに小量のお湯を加え,粒が完全になくなるまで良く練る。
・お湯をたして,火にかける。
・沸騰寸前までにして,良く溶かす。
・糊の冷えている季節には染液も冷やしてから元糊に加える。( 夏は熱いままでも可)
・ボールに付いている残りの染液を,お湯で洗うようにして元糊に加える。
・全体を良く練って混ぜる。色糊の色は染上がりの色とは,違う。
・はし布に色糊を塗り,試験蒸しをする。
  **試験蒸し**
  やかん,ビーカー,缶詰の空缶,等小さな入れ物に水を入れ,火にかけて沸騰させて
  から針金に,はし布をつるし2~3分蒸す。後,水で洗い乾かしてから色味をみる。
・助剤としてはグリエシンA(染料溶解剤,染着を良くする)トリポリ燐酸ソーダ(捺
 染糊の染着安定剤)などがありますが使用しなくてもよいです。

 

形付け しごき


・敷糊をする。
  **敷糊**
  糯粉2カップ程度をお湯を少しずつ加えながら,固まりの無いように良く練り,お湯
  を加えゆるく練ってから,火にかける。しゃもじでかき回しながら透明度が増してき
  たら火からおろす。大和糊と同じになる。それを板の上に延ばし,ヘラや金敷等で,
  凸凹のないように平らに延ばす。乾燥させてから使用する。
・型紙を水に漬ける。
・布を板に貼る。
・形付けは同じ要領。(紗貼りをしませんので型紙の彫り縁をヘラの先などで引っ掛けな
 いようにする)
・一色目が乾いてから,二色目を形付ける。
・三色目以下同じ様に型付けていく。
・形付けが全て終ってから,しごきをする。
・しごき
  **しごき**
  布全体に色糊を塗り,地色を染てしまうことを,しごきと言う。
・しごきは乾燥させず,おがくずを上からかけ,板から布をはがす。
・布をびょうぶだたみにする。
・新聞紙等で包む。
・蒸し器に吊し,40~50分蒸す。
・蒸し上がった後,たっぷりの水で良く振り洗いする。
・水元も前と同様,2~3回水を取り替えながら,洗う。
・脱水後,フィックスへ入れ,脱水して仕上げる。


 

 


酸性染料の捺染

・直接染料と同じです。
・糊の色は染まる色とほとんど同じになる。

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